ランドセルの、もっとも重たい日の重さは6㎏!
毎日の通学に使うランドセルには、教科書やドリルなどの教材、リコーダーや体操服など、様々な荷物が入ります。1週間のうち、ランドセルに入れる荷物が最も重い日の、荷物の重さを調査しました。
荷物のたくさん入っている日のランドセルの重さは......?
学齢×主要地域別の荷物のみの重さ平均
単位:Kg
※「わからない・測定できない」という回答者を除いています
(株)セイバン 2018.3月調査
教科書は年々重たくなっています
『教科書発行の現状と課題(2017年度版)』によると、学習指導要領の改訂やユニバーサルデザインの追求による教科書のレイアウトの工夫などの影響で教科書のページ数が大幅に増えたとされています。
しかし、ページ数とともにその内容もよりわかりやすく、学びやすいものになっているため、私たちは教科書を手放すことはできません。
※教科書発行の現状と課題(2017年度版)
(発行日:平成29年7月28日/発行者:一般社団法人教科書協会)
重たい教科書を6年間しっかりと持ち運ぶことができる、丈夫なランドセルが必要です。
いい環境で学び、健康的な生活をおくれるような配慮が大事
ランドセルの"重さ"が小学生の健康や成長に影響があるのではないかということがいろいろなメディアで取り上げられています。これはランドセル自体の重さではなく、ゆとり教育の反省などといった教育環境の変化で、教科書自体の量や重さに依るところが大きいのだろうと思います。
骨は小学生の時に一番成長します。その時期に適切な負荷を加えるのは成長過程においては必要なことですが、できるだけいい姿勢を維持することが求められます。成長期に重い通学カバンの影響を受けて、正常な骨の形成が損なわれるのが子どものためによいことではありません。
いい姿勢とは重心線を降ろしたときに足首までまっすぐ伸のびている状態です。重心線が一直線に伸びない不良姿勢になると腰痛とか肩こりを発生しやすくなります。それが長期化した場合には慢性の椎間板ヘルニアを発生させる可能性も考えられます。いっとき子供の側弯症が問題になりました。原因ははっきりわからないのですが、片方の肩で担ぐタイプのカバンだと(側弯症の)リスクが高くなるという論文も発表されています。
そうした点から考えると、重量配分が左右均等になりやすいランドセルは、適切な大きさで、適切に装着された場合には、他の形態のカバンに比べると健康面で優れた仕様になっていると思います。
ランドセル業界として大事なことは、子どもがいい環境で学び、リスクを避けて健康的な生活をおくれるような配慮をすることです。子どものためになることを業界全体で考えていけばいいと思います。例えば、肩にしっかりフィットさせて、6年間丈夫に使える軽い素材でできるだけ重量を減らす努力をするといったことが必要だと思います。(談)
久野木 順一
日本赤十字社医療センター
副院長・整形外科センター長・医療技術部長
文部科学省の通知
ランドセルが重くて体に負担がかかるという報道の中、各地教育現場では対策が課せられています。
2018年9月3日のNHK NEWS WEBでは、文部科学省から下記の方針が発表されたことを報じています。
文部科学省は全国の教育委員会などに、従来の学校の対応を見直すよう近く通知する方針です。具体的には、家庭学習で使用しない教科書や、リコーダーや書道の道具などについては、施錠ができる教室の机やロッカーに置いて帰ることを認めるよう求めています。
引用:『重いランドセル 文科省が"置き勉"認めるよう全国に通知へ』
NHK NEWS WEB(https: //www3.nhk.or.jp/news/)2018年9月3日
ランドセルはあくまでも、教科書、教材、ノート、筆記用具等、学用品を持ち運ぶためのツールです。
ランドセル工業会もこの方針に賛同し、毎日持ち帰る必要のないものは学校で保管するなどの配慮を希望します。
正しいランドセル選びと教材の管理で、子どもの成長を促す適切な負荷を
正しいランドセル選びと教材の管理で、子どもの成長を促す適切な負荷を
重量配分が左右均等になりやすいランドセルは他の形態のカバンに比べると健康面で優れた仕様になっています。お子様のために、健康面、安全面をご配慮いただき、ランドセルに入れるべき中身をご判断いただけたらと考えます。
そして、6年間快適に大切にお使いいただけたら嬉しいです。